緑オリーブ法律事務所ブログ

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 厚生労働省の専門家検討会が、脳梗塞やくも膜下出血などの脳・心臓疾患による労働災害の認定基準の見直しに向けた報告書案を示したとの報道がありました。(朝日新聞デジタル・6月23日NHK NEWS WEB・6月22日等)


 脳・心臓疾患による過労死認定について、現在はおおよそ、残業時間が、
・発症直前1か月に100時間
・発症前の2か月から6か月は1か月平均で80時間
のいずれも超えた場合が目安とされています(いわゆる「過労死ライン」)。


 報告書案は、この過労死ラインに近い働き方の人について、不規則勤務などを判断材料として重視するべきだ、としています。
 具体的には、長時間労働以外の労働者の負荷となる不規則勤務として、
・拘束時間の長い業務
・休日のない連続勤務
・終業から次の始業までに一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル」が11時間未満の勤務
・深夜、交代制勤務
などが例示されています。
 この報告書案が採用されれば、過労死の認定基準が20年ぶりに見直されることになります。


 脳・心臓疾患の労災認定について、現在でも、不規則勤務といった長時間労働以外の要素も評価するとされてはいますが、残業時間が過労死ラインを超えないケースの認定数は非常に少ないのが現状です。コロナ禍で進むリモートワークなど、IT化の進展で働き方も多様化する中、長時間労働以外の要素を明確化することは、労働者保護につながります。この点は、報告書案は高く評価できます。
 他方、「過労死ライン」そのものの見直しは見送られました。世界保健機関(WHO)と国際労働機関(ILO)の共同調査で、残業が月65時間に及ぶと脳・心臓疾患のリスクが高まるとの結果も報告されていますので、過労死ライン自体の引き下げも必要だと考えます。(浜島将周)


 


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