緑オリーブ法律事務所ブログ

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 ずっと孫の親代わりをしてきた祖母が、実の母親である娘を相手方に、監護者に自分を指定するよう求めた家事審判で、最高裁(第1小法廷)は3月29日付で、「父母以外の第三者は、審判を申し立てることはできない」との判断を示しました。(日経新聞web・3月31日NHK NEWS WEB・3月31日


 事案は、母親(娘)は、2009年に出産、翌年に離婚。祖母、孫の3人で約7年間暮らした後、1人で家を出て再婚。孫は、再婚相手との同居を拒んで、祖母と暮らし続けたいと希望。孫は体調も崩していたようです。このため、祖母は、家裁に審判を申し立てました。


 この点、民法766条では、協議離婚後の子の監護者指定については、「父母…の協議で定める」とし(1項)、協議が調わないときは、「家庭裁判所…が定める」としています(2項)。
 このため、家裁への申立てを父母以外の者でもできるか、が争われていました。


 大阪家裁は、孫の養育実績を踏まえて、祖母の主張を認めました。
 大阪高裁も、孫の世話を母親(娘)がすると、孫の精神状態が悪化して健全な成長を阻害する恐れがある、として、子(孫)の福祉の観点から、家裁の判断を支持しました。


 これに対し、最高裁が、祖母による孫の監護者指定の申立てはできない、と逆の判断を示したわけですが、その根拠は、民法の条文の厳格な(形式的な)解釈によるものです。766条は父母の申立てを予定した規定だ、ということにつきます。


 このため、NHKのニュースでは、棚村政行 早稲田大学教授(家族法)の批判的なコメントもありました。
「最高裁決定は、民法の条文を形式的に解釈しており残念だ。事情があって親が子どもを育てられない場合に、祖父母が世話をするというのは実社会ではよくある。家族が多様化する中、家庭裁判所の実務では、実質を見て柔軟に判断し、祖父母の監護権を認めるケースもあった。最高裁は認めなかったが、法制審議会では家族法制の見直しが進められており、祖父母を含む適切な近親者が親の監護権を補充できるよう、議論の進展に期待したい。」


 なお、これとは別に、祖父母が孫と定期的に会える面会交流を求めた家事審判でも、最高裁は決定で、父母以外による申立てはできない、として却下しました。(浜島将周)


 


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