緑オリーブ法律事務所ブログ

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 市民オンブズマン活動をしている議員に対し、愛知県弥富市議会が議員辞職勧告を決議したとの報道がありました。(毎日新聞Web・10月21日東京新聞 特報Web・10月22日等)
 弥富市議会が9月23日付の決議で、今年2月に初当選した無所属の市議が議員当選前からオンブズ活動を続け、弥富市の新庁舎建設で移転補償や土地購入費が高すぎるとして市に損害賠償を求める住民訴訟を起こしていたことを問題視し、同市議に対して、オンブズ活動を続ける場合は議員を辞職するよう迫ったということです。


 報道によると、「地方議会は地方行政の一翼を担っている。議員がオンブズ活動を行うことは本来の趣旨に合致しない。」というのが決議の理由だといいます。
 しかし、議会は行政の一翼を担うものではありません。むしろ行政から独立しているべき存在で、行政を監視し、意見するのが仕事のはずです。その意味では、議員の仕事は、税金の無駄遣い等をチェックするオンブズ活動とむしろ親和的だともいえます。現に、オンブズ活動と議員活動を両立させている地方議員は、全国各地に多数いらっしゃいます。そのことが問題視されたということも、これまで聞いたことがありません。


 また、報道によると、採決前の質疑で同市議の活動内容を質問した議員に対し、提案者の議員は、「あなたとは考えが違う。あなたの質問に答える必要はない。」と説明を避けたといいます。
 (議会)多数派と違う考え方は無視しますと宣言したわけで、決議が少数派の意見封じであることを物語っています。


 毎日新聞の記事に、昇 秀樹 名城大学教授(行政学)のコメントが掲載されていました。まったくそのとおりだと思います。
「議員活動で市政のチェックはできるが、それと別に社会活動としてオンブズマンをするのは全く問題がなく、むしろ二重のチェックができる。決議は「市政と違う考えはだめ」とのニュアンスだ。議会は多様な民意を反映し市政をチェックすることが本質。議会の本質をわきまえない恥ずかしい決議だ。」


 弥富市議会は、直ちに決意を撤回すべきです。(浜島将周)


<11.6.追記>
 名古屋市民オンブズマンは、11月5日に愛知県政記者クラブにて記者会見を行い、弥富市議会で決議された「加藤明由議員に対する辞職勧告決議」の中に、市民オンブズマンに対する誤解および市議会の機能についての誤解が見られることから、「弥富市議会に『市議会正常化』を求める」請願を弥富市議会議長に提出する意向を表明しました。(毎日新聞Web・11月5日東海テレビ・11月5日
 名古屋市民オンブズマンは、ホームページ上で、「弥富市議会問題ページ」をまとめています。ご覧ください。(浜島将周)


<11.24.追記>
 弥富市議会が12月定例会初日の24日、名古屋市民オンブズマンが提出した「弥富市議会に『市議会正常化』を求める」請願を全会一致で採択しました。(毎日新聞Web・11月24日CBC News・11月24日
 請願は、市議が議会以外の場でも行政の監視、是正行為を自由にできるよう決議することを求めるもので、採択により、弥富市議会は、この請願と矛盾する9月23日付の「加藤明由議員に対する辞職勧告決議」を事実上撤回したことになります。
 これを受けて、名古屋市民オンブズマンは、声明を発表しました。
→ こちら
 今回の最大の問題は、憲法で保障する表現の自由を多数派が数の力で侵害したことです。そのことを、9月23日付辞職勧告決議に賛成した議員は本当に理解しているのか、名古屋市民オンブズマンとしては今後も注目していきたいと考えています。(浜島将周)

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