厚生労働省が、仕事が原因でうつ病などの精神疾患にかかり、2019年度に労災申請したのは2060件(前年度比240件増)で、1983年度の統計開始以降最多だったと発表しました。(東京新聞Web・6月26日)
背景には、先回のブログ記事でお伝えしたような〝パワハラ〟等に関する認識の高まりがあるのではないかとされています。
業務による心理的負荷を原因とする精神障害については、平成23年12月に策定された「心理的負荷による精神障害の認定基準について」に基づき労災認定が行われています。
今回、パワハラ防止法の施行にあわせる形で、その認定基準の別表1「業務による心理的負荷評価表」が改正され、「パワーハラスメント」が明記されました。評価表をより明確化、具体化することで、請求の容易化、審査の迅速化を図るためだとされています。
これまでは、上司や同僚等から、嫌がらせ、いじめ、暴行を受けた場合には、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」の出来事で評価されていました。
これが、以下のように改正されました。
【改正のポイント】
1. 「具体的出来事」等に「パワーハラスメント」を追加
・「出来事の類型」に「パワーハラスメント」を追加。
・「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」を「具体的出来事」に追加。
<強いストレスと評価される例>
上司等から、治療を要する程度の暴行等の身体的攻撃を受けた場合
上司等から、暴行等の身体的攻撃を執拗に受けた場合
上司等による、人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない精神的攻撃が執拗に行われた場合
心理的負荷としては「中」程度の精神的攻撃等を受け、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった場合
2. 評価対象のうち「パワーハラスメント」に当たらない暴行やいじめ等について文言修正
・「具体的出来事」の「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」の名称を「同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた」に修正。
・パワーハラスメントに該当しない優越性のない同僚間の暴行やいじめ、嫌がらせなどを評価する項目として位置づける。
<強いストレスと評価される例>
同僚等から、治療を要する程度の暴行等を受けた場合
同僚等から、人格や人間性を否定するような言動を執拗に受けた場合
詳細は、厚生労働省「心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました~「心理的負荷評価表」に「パワーハラスメント」の出来事を追加します~」をご覧ください。(浜島将周)
※ 本ブログ記事は、前回のブログ記事に<追記>していたものを、修正の上、独立させて掲載したものです。