緑オリーブ法律事務所ブログ

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 一昨日の当ブログでご紹介した「遺言デジタル化」の検討と同時に、小泉龍司法務大臣は、成年後見制度の利用促進に向けた制度の見直しについても、法制審議会に諮問したようです。(NHK NEWS WEB・2月13日読売新聞ONLINE・2月13日


 成年後見制度とは、認知症や知的・精神障害などで判断能力が十分ではない人について、「後見人」が選任されて、財産管理(不動産・預貯金等の管理、遺産分割協議等の相続手続など)や身上保護(介護福祉サービスの利用・施設の入所・入院の契約締結、履行状況の確認など)などの法律行為を代わりにおこなう制度です。
 本人や家族らが利用を申し立て、家庭裁判所が後見人を選定します。
 後見人には、親族らが選任されることもありますが、トラブル回避のため、弁護士・司法書士や福祉関係者が選任される場合が多くなっています。


 法務省によると、2022年10月時点で、65歳以上は約3600万人、認知症の人だけで数百万人いるとされるのに対し、成年後見の利用者は24万人余りにとどまるそうです。


 高齢化で成年後見のニーズは高まっているものの、現行法では、一度後見制度を利用すると、事実上死亡するまで中止できません。後見人とそりが合わなくても、交代はなかなか認められません。また、弁護士等の専門職後見人には報酬の支払いが必要になります(「成年後見人等の報酬額のめやす」参照)。負担が重い、使い勝手がよくないとの声は少なくないのが実情です。
 そこで、法制審では、一定の期間経過や遺産相続などライフイベントの完了時点で後見制度の利用を終了できる仕組みや、一定の時期に弁護士等の専門職後見人から福祉関係者後見人への引継ぎを認める仕組みなど、柔軟な運用を検討し、民法等の関係法令の改正を議論するようです。

 この成年後見制度見直しの議論についても、見守っていきたいと思います。(浜島将周)



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