緑オリーブ法律事務所ブログ

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 地方自治体で働く非常勤職員本人や遺族が、公務災害認定の申請をできるよう、総務省が全国の自治体に通知した、との報道がありました。(東京新聞WEB・9月1日
 自治体職員の公務災害認定をめぐっては、常勤であれば地方公務員災害補償法に基づく本人申請が可能であるのに対し、事務部門などの非常勤職員や臨時職員は同法に基づく自治体条例によって定められ、職場の労務担当者からの申請しか認めていない自治体もあるとのことで、この点で、常勤と非常勤の格差是正が進みそうです。
 昨年は、自治体の非常勤職員に期末手当(ボーナス)を支給できるよう、地方自治法の改正もあり(施行は2020年から。)(日経新聞WEB・2017年5月11日)、現在、国を挙げて、自治体の常勤・非常勤の格差是正を進めているようです。


 さて、このニュース自体は評価すべきことだと思うのですが、ただ、そもそもの問題として考えなければならないのは、自治体の〝非常勤職員〟という存在そのものです。
 というのも、全国の自治体で非正規職員が急増していて、〝官製ワーキングプア〟が大量生産されている状況だからです。経費削減のために、退職者補充を本来正規ですべきところ、非正規で対応してきた結果だといわれます。
 総務省の調査では、2016年4月1日現在で、全国自治体の非正規は都道府県・市区町村をあわせて60万人を超えるとのことで(「臨時・非常勤職員に関する調査結果について」)、2005年に比べて4割も増えました。これに対し、正規職員は約270万人ですから、いまや地方公務員の5人に1人以上が非正規職員です。正規と同様にフルタイムで働き、正規と同等の責任を負う職員も少なくないといわれていますので、自治体職員のモチベーションの低下につながりかねません。ひいては、行政サービスの低下にもつながるでしょう。住民は決して、安上がりの行政を求めてはいないはずです。(浜島将周)

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