緑オリーブ法律事務所ブログ

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 3月13日、成年年齢を20歳から18歳とするための民法改正案が閣議決定され、国会に提出されました。(朝日新聞DIGITAL・3月14日毎日新聞WEB版・3月14日
 「少子高齢化が急速に進むなか、若年者の社会参加を促し、その自覚を高める。」というのが、法案提出後の記者会見での上川陽子法相のコメントです。


 幅広い世代での改憲議論を期待して18歳から投票権を認めた「国民投票法」が2007年に成立し、一般の選挙権年齢の引き下げも認めた「改正公職選挙法」が2015年に成立し、すでに参院選・衆院選が各1回ずつありました。
 今回はさらに、民法上の成年年齢も18歳に引き下げようというものです。


 民法の成年年齢を引き下げには、若年者の自己決定権が早期に実現するなどの点では、積極的意義が見いだせないわけではありません。
 しかし、ただでさえ若年層の消費者被害が目立つのに、成年年齢の引き下げにより、さらに18歳、19歳を被害者とする消費者被害の拡大が予想されます。が、現状ではこれに対する適切・有効な対策が見いだせません。少なくとも、高校生までの教育課程で十分な法教育・消費者教育を実施することと、若年成年者に対する消費者保護の法制度を整備することがまず必要でしょう。
 また、民法の成年年齢引き下げによる、少年法や児童福祉法等の他法への現実的な影響は無視できません。この点を十分考慮せずに民法の成年年齢のみを切り離して引き下げるのは適切ではありません。


 何歳以上を「成年」として扱っていくのかについて、いまだ国民的なコンセンサスがない以上、十分な国民的議論を踏まえた上で慎重に検討・判断すべきで、拙速な法律改正には反対です。


 日本弁護士連合会はこれまでも、民法の成年年齢引き下げに反対する意見書を提出してきました。大部ですが、ご一読いただけると幸いです。(浜島将周)


・ 2008月10月21日「民法の成年年齢引下げの是非についての意見書」


・ 2016年2月18日「民法の成年年齢の引下げに関する意見書」


・(参考)日弁連「少年法適用年齢の引き下げに反対します」特設ページ

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