緑オリーブ法律事務所ブログ

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今年3月末、名古屋市名東区の介護施設職員が入所者へ暴行した疑いで逮捕されたとの報道がありました。被疑者らはその様子を面白がって、LINEに映像をアップしていたとのことです。

このような高齢者虐待は、身体的、精神的(ネグレクトや暴言など)、経済的(財産の不当な処分など)、性的なものがあり、高齢者の尊厳と権利を侵害するものとして、いわゆる高齢者虐待防止法によって禁止されています。ときには生命にもかかわりますので、虐待発見者には通報義務があり、自治体や警察等が連携して対応するしくみになっています。

特に、心身や判断能力が弱くなって継続的にサポートを受けている高齢者は、介護者との関係で弱い立場に立つので、虐待という暴力を受けやすい一方で、家庭内・施設内のことは外部から見えにくいために被害が潜在化しやすいといえるでしょう。

加害者が親族の場合、いわゆる老々介護の問題や、親族間の協力や連携がえられず負担が集中したり、仕事と介護の両立の難しさ、若年者が学業や仕事を犠牲にして長期間介護に従事するケースなど、心身ともに追い詰められて虐待に至ることも少なくないようです。

今回の事件は悪質な嫌がらせといえますが、介護施設では、体力的・精神的・勤務体制的にも厳しい仕事であるのに職員の待遇が見合わず、慢性的な人出不足状態にあり、やむをえず身体的拘束や不適切なケアに及ぶ実態もあるようです。

弁護士は、財産管理問題、後見、扶養のあり方、遺言等をめぐってご相談を受けるなかで、高齢者虐待の問題に接する場面がありますが、ご相談・ご依頼の趣旨を前提にしながら、どのような対応が高齢者ご本人の福祉にかなうかを中心に、親族間の協議、関係機関との連携、法的手段等を検討し、助言や受任事務をすすめさせて頂きます。

高齢者虐待の被害が疑われるような場合は、被害への適切な対応や防止のためにも、お早めに行政機関等の相談窓口や弁護士へご相談ください。

(横地明美)

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