緑オリーブ法律事務所ブログ

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 前回に続いて、情報問題です。


 防犯カメラとは別に店舗内に常設カメラを設置し、撮影した顧客の顔画像を人工知能(AI)で分析して集積し、売り上げの増加に役立てる企業が増加している、との新聞記事がありました。(朝日新聞DIGITAL・8月26日
 国は属性分析後の消去などを条件に利用を認める姿勢だとされています。


 たしかに、顧客の顔画像そのものではなく、性別や年代、体型などの属性のみが抽出され、利用されるのであれば、当該個人の個性は薄まり、プライバシーへの侵害の度合いは小さくなります(ただし、同記事には、「来店した客の顔画像の特徴を抽出した数字のデータを保存し、再び訪れたときの動向を把握する「リピート推定」」の「導入が決まった店舗がある」との報告がありますので、すでに属性のみの利用を超えていますが。)。
その属性分析後のデータ消去がなされれば、目くじらを立てるほどのことでもないのかもしれません。
 しかし、そのデータ利用が属性のみに限られることがどこまで担保されるでしょう。属性のみに限られるとしても、例えば男性、40代…というにとどまらず、痩せ型、書籍は『○○』を購入…と積み重ねれば、限りなく個人の特定につながります。
 また、そのデータの速やかな消去がどこまで担保されるでしょう。確実に消去されていることの確認を、私たちがいちいち求めることも現実的ではありません。
 もしかしたら、知らないうちに、Tポイント・カードなどに蓄積された膨大な個人情報とともに容姿のデータも利用されるかもしれませんし、それが警察の手に渡って、分析、監視の手段とされるかもしれないのです。
 結局、客は店舗・企業を信用するほかありません。


 今回新聞記事となっているようなカメラを使用している店舗・企業は、その旨を明確に店頭に表示しておかなければなりません。また、データの利用目的、範囲、消去などに関する社内規定をしっかり整備してから運用を開始いただきたいです。
 他方、経済産業省などが作成している『カメラ画像利活用ガイドブック』には、「利活用に必要となるデータを生成または抽出などした後、元となるカメラ画像は速やかに破棄する」との方針が記載されているようですが、国は、そのようなガイドライン策定にとどまらず、カメラ利用に関する詳細な法規制をすすめるべきです。(浜島将周)

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