緑オリーブ法律事務所ブログ

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 日本郵便の契約社員3人が正社員と同じ仕事をしているのに手当等に格差があるのは違法だとして、日本郵便に対して損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁が訴えの一部を認め、「住居手当や有給の病気休暇がないことなどは「不合理な労働条件の相違」に当たる」と判断し、日本郵便に一部の賠償の支払を命じる判決を下しました。(日本経済新聞Web・9月14日毎日新聞Web・9月14日) 


 2013年施行の改正労働契約法20条は、「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。」として、期間の定めがあることによる不合理な労働条件を禁止しています。


 原告らは、時給制の契約社員として採用されていました。
 判決は、訴えのあった手当や休暇等を個別に検討し、そのうちの住居手当と年末年始勤務手当について、「職務内容などの違いで差異を設けるのは不合理」とし、それらの一部を認定したほか、訴えにはなかったお盆や年末年始の特別休暇と有給の病気休暇がないことも「不合理」な相違と判断しました。
 反対に、早出勤務手当や夜間特別手当、賞与にあたる夏期年末手当等の6つの手当の格差については、「業務の幅広さや配置転換の有無の違いを踏まえれば、不合理ではない」と判断したようです。

 労契法20条については、これまでの消極的な司法判断が続いていました。本判決はこの流れを変えるもので、今後、非正規労働者が労働条件の格差是正を求めていく運動の礎となり得るものです。
 弁護団によると、日本郵便は20万人の正社員に対して、19万人もの非正規労働者が働いているそうで、そのような日本を代表する大企業であることから、同社に加えて、他の企業に与える影響も大きそうです。(浜島将周)


 


<9.16.追記>
 日本郵便は15日、一部の格差を違法と判断した東京地裁判決を不服として控訴したようです。(毎日新聞Web・9月15日

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