緑オリーブ法律事務所ブログ

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 現在、国会で審議中の「共謀罪」。テロ等準備罪との看板が偽りであること、実行行為概念を基調とした我が国の刑法の基本原則に真っ向から抵触すること、表現の自由や結社の自由を侵害しさらには思想・良心の自由をも侵害するものであることなど、根本的な欠陥が次々と明らかとなっています。
 しかし、安倍政権は、本国会中での採決の姿勢をまったく崩していません。


 そこで、濵嶌が事務局長を務める「秘密法と共謀罪に反対する愛知の会」では、あらためて「共謀罪」の抱える問題を理解すべく、「共謀罪」のある社会とはどんな社会か、私たちの暮らしはどのように変わるかを、現在の日本で実際に起きている事件や過去の日本での歴史的事実から説き起こす連続学習会を企画しました。
 お誘いあわせのうえ、ぜひご参加ください。(浜島将周)


 


第1回 5月11日(木) 18時30分~ 
『刑法から迫る共謀罪の本質』
講師:平川宗信さん(名古屋大学名誉教授(刑法))
現実事例の当事者からの報告:瑞穂区白龍町高層マンション建設を巡る住民運動への刑事弾圧事件の被害者


第2回 5月25日(木) 18時30分~ 
『憲法から迫る共謀罪の本質』
講師:本 秀紀さん(名古屋大学教授(憲法))
現実事例の当事者からの報告:大垣警察市民監視違憲訴訟の原告


第3回 5月29日(月) 18時30分~ 
『治安維持法から迫る共謀罪の本質~政府は何を甦らせようとしているか』
講師:内田博文さん(九州大学名誉教授(刑法))


特別編 6月6日(火) 18時30分~
『日本の表現の自由とメディアと「共謀罪」~国連特別報告者・調査報告をふまえて』
講師:藤田早苗さん(英国エセックス大学人権センターフェロー(国際人権法))


 


会場:いずれも ウィルあいち セミナールーム1・2
   〒461-0016 名古屋市東区上竪杉町1番地
     ●地下鉄「市役所」駅 2番出口より東へ徒歩約10分
     ●名鉄瀬戸線「東大手」駅 南へ徒歩約8分
     ●基幹バス「市役所」下車 東へ徒歩約10分
     ●市バス幹名駅1「市政資料館南」下車 北へ徒歩約5分


入場:無料(カンパ歓迎)


主催:秘密法と共謀罪に反対する愛知の会


チラシはこちら


 


<5.15.追記>
 第1回(講師:平川宗信・名大名誉教授)は、会場のウィルあいちセミナールームに定員以上の参加者が詰めかけ、大盛況でした。それほど、市民の共謀罪法案に向ける目は厳しいのだと思います。
 平川先生は、いかに共謀罪法案が、近代刑法の基本原則と整合しないものかを丁寧に説明されるとともに、共謀罪が市民とは無関係などということはあり得ない、市民は「市民刑法」としての共謀罪導入を歓迎しているようだが、政府は「治安刑法」としての共謀罪導入を図っているのだ、と指摘されました。


 なお、次回以降も多数の参加が予想されるため、急遽、第3回(講師:内田博文・九大名誉教授)について、会場をより広い部屋に変更することにしました。


     ウィルあいち 3階 大会議室


です。同じウィルあいち内ですので、さほど混乱はないと思いますが、よろしくお願いいたします。


 


<5.26.追記>
 第2回(講師:本 秀紀・名大教授)も、会場のウィルあいちセミナールームいっぱいの参加者が詰めかけました。5月23日に、法案は強行採決され衆議院を通過しましたが、市民は諦めていません。
 本先生は、プライバシーとは自律のための権利であること、大垣署市民監視事件のように公権力が勝手に個人情報を集めるようになり、それを勝手につなぎ合わせるようなことになれば、「萎縮効果」が働き、自由な市民活動が妨げられること、この点でプライバシーは表現の自由に接続することを説明されました。
 また、国会(選挙)を通じた制度的公共圏が劣化し、国民の意思が政治に反映されない中、メディアやデモ・集会などの非制度的公共圏からの発信と制度的公共論への連動が重要となってきていることを指摘されました。
 そして最後に、共謀罪は行為の前に、考えの段階でコミュニケーションを処罰するものであり、再び「戦争する国」への(重要な)ワンピースであることに言及されました。


 


<5.30.追記>
 第3回(講師:内田博文・九大名誉教授)は、170人もの参加者を得ました。会場をウィルあいち大会議室に移して正解でした。
 内田先生は、歴史的事実をふまえ、共謀罪法案が「平成の治安維持法」であることを明快に説明されました。治安維持法も共謀罪法案も、憲法(明治憲法/日本国憲法)に違反すること、秘密保護法制(軍機保護法/秘密保護法)とも関連すること、近代刑法の基本原則に反すること、「市民刑法」ではなく社会の構成員を敵と味方に分け危険性があるとみなされる者を敵として排除していく「敵味方刑法」であること、事実上の連座制であること、戦争国家のための法整備の一環であることなど、非常によく似ている。
 そして、治安維持法のときもそうだったように、「一般市民には適用されない」なんてことはない、「私には関係ない」なんてことはあり得ない、最大の綱引きはこの点にある、と指摘されました。
 もっと時間を取って、じっくり拝聴したいご講演でした。共謀罪に関する大規模な講演会・学習会を企画されるなら、内田先生、お勧めです。


 


<6.8.追記>
 第4回特別編(講師:藤田早苗・エセックス大フェロー)も、会場から溢れんばかりの参加者があり、用意していた資料が足りなくなるほどでした。
 藤田先生によると、
・ 国連自由権規約委員会議長が「日本は何度勧告を受けても、まったく改善しようとしない。」「国際社会に反抗しているように見える。」と発言している。
・ 国連プライバシーの権利に関する特別報告者ジョセフ・カナタチ氏による、共謀罪法案に対する懸念を表明した書簡に対し、外務省はわずか1時間後に抗議したが、中身のないただの怒りで、懸念にひとつも答えていない。
・ 国連表現の自由に関する特別報告者デイヴィッド・ケイ氏の来日調査について、日本政府は急遽延期を申し入れ、あらためての受け入れ時にはケイ氏を監視していたことが明らかになっている。
 しかし、国連の勧告は特効薬ではない、私たち日本の市民にかかっている、とエールが送られました。


 


 4回とも大盛況であり、内容も充実した学習会でした。
 共謀罪法案が、私たちの自由を奪うだけの悪法になり得ることはもはや明らかです。なんとしても廃案に!!

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