緑オリーブ法律事務所ブログ

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愛知県が県議会議員に交付した2009年度の政務調査費のうち、「事務所家賃」「車リース料」に充てたのは条例違反だとして、名古屋市民オンブズマンが県に対して、各会派に計8000万円余の返還を請求するよう求めた訴訟で、最高裁はこのほど、県の上告を退け、計8000万円余全額の返還を命じた名古屋高裁判決が確定しました。(CBC NEWSi・12月20日毎日新聞WEB・12月20日朝日新聞DIGITAL・12月20日など)
これにより、自由民主党愛知県議員団は34,587,096円を、民進党愛知県議員団は37,951,169円を、公明党愛知県議員団は8,627,860円を、それぞれ愛知県に返還すべき義務を負うことになります。


名古屋高裁判決および最高裁判決全文、議員別の詳細等は、名古屋市民オンブズマンの政務活動費ページをご覧ください。


この判決の意義等については、以下、名古屋市民オンブズマンの声明を貼り付けておきますので、ご一読ください。(浜島将周)


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愛知県議会政務調査費返還請求住民訴訟の確定を受けて


 この訴訟では、愛知県議会議員が事務所賃料や自動車リース料に支出した政務調査費が、実際に政務調査活動に必要であったかどうかが問われました。
 私たちは、政務調査費の支出の成果について、議員から十分な説明がない以上、これらの支出は、議員の当選を目的とした活動など、政務調査活動への支出とは言えない、と主張しました。これに対して会派側は、政務調査活動とは何かは定義できないとし、議員の活動から政治活動と議員個人の活動、議会活動を除いた広範な活動が政務活動なので、実際の成果を示す必要もない、との主張を展開しました。
 具体的な政務調査活動に対する支出であるとの証明がなされていない、とした高裁判決を維持した今回の最高裁判決は、愛知県議会三会派の、極めて広範な政務調査活動に対する解釈が、地方自治法100条14項の解釈としては誤りであることを示したものです。
 また、この判決は、調査研究を極めて広範なものであるとの解釈を前提とし、議員の活動に生かされていないものも調査研究活動にあたる、あるいは、郷土史の研究のようなものも政務活動にいう調査研究にあたる、などという、全国の多くの議会で行なわれている解釈にもノーを突きつけ、政務活動の支出の適法性の判断に関して、市民感覚こそ正当であることを示したものとして、全国に与える影響は極めて大きいと考えます。
 私たちは、愛知県議会に対し、直ちに政務活動費の支出のあり方、支出手続きを見直すことを求めます。また、今年、全国に拡大した政務活動費の不正支出の議論が、この判決をきっかけとして、単なる領収証の偽造や改ざんといった問題から一歩進んで、政務活動費が議員活動にどのように生かされたか、といった、政務活動費に対する本質的な問題を論点として議論が進化することを期待したいと思います。


2016年12月19日
名古屋市民オンブズマン

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