緑オリーブ法律事務所ブログ

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久しぶりに、愛知県弁護士会 公害対策・環境保全委員会の現地視察に参加しました。
場所は有松―緑区に事務所がありながら、時間をかけて散策したことはありませんでした。

有松は、東海道の池鯉鮒(ちりゅう)宿と鳴海宿の間にできた町で、江戸時代より「有松絞り」で繁栄しました。その頃からの歴史的町並みが現在も残っています。
時間が限られ、駆け足の視察でしたが、素敵な町並みでした。

2016/10/17 13:17

また、今回特別に、竹田家のお宅の中にも入れていただきました。

2016/10/17 13:34

2016/10/17 13:40

この有松の町並みは、1984年に、名古屋市から「町並み保存地区」に指定されていましたが、この度(2016年7月25日)さらに、文化財保護法上の「伝統的建造物保存地区」(伝建地区)に指定されました。

伝建地区とは、周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値が高いものとして指定されるもので、文化財保護法上の文化財の種別のひとつです。個々の伝統的な建築物を単体で文化財に指定するのではなく、その集合体を指定するところがミソです。
伝建地区になると、住民と行政が一体になって、町並みの保存・形成に取り組むことになります。建築行為等が許可制になって町並みが保存・形成される一方で、建物の修理等に要する費用の補助や税の減免等の支援がなされます。

視察の後は、「有松まちづくりの会」のみなさんと意見交換会をしました。
有松の町並み保存の歴史は古く、1974年には、妻籠・今井とともに「全国町並み保存連盟」を発足させたとのことでした。有松は、日本における町並み保存運動の発祥の地だったわけです。その意味では、ようやくの伝建地区指定でした。
ただ、伝建地区に指定されたとはいえ町並み保存は容易でなく、指定までの40年間ですでに東海道沿いの伝統建築物の数は約半数になってしまっていること(戦前からの建築物数:1975年84戸→2013年42戸)、小川を挟んですぐ向こう側では大規模開発が進められたこと、今後も進んでいく住民の高齢化や商工業の衰退傾向、空き家の増加といった課題があるとのことでした。
公害・環境委員会としては、これらの課題に対して法的観点から、有松の町並み保存に協力できればと考えています。(浜島将周)

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