緑オリーブ法律事務所ブログ

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4月10日、約200名の参加を得て、4周年総会が盛大に開催されました。

思い起こせば2011年の年の瀬も押し迫った頃、当時の民主党政権下で秘密保全法制の整備が検討されていることが明らかとなり、自由法曹団愛知支部の幹事会において、反対の声を上げる必要性が確認され、翌2012年4月に、「秘密保全法に反対する愛知の会」が結成されました。当時、秘密保全法制に反対することを目的とし、その情報発信をする全国唯一の市民団体でした。

さて、4周年総会では、特別報告として、藤田早苗さん(英国エセックス大学 人権センター フェロー)に、現在のご自身の活動の様子をお話しいただきました。
藤田さんは、秘密保護法をはじめ日本の表現の自由の危機的状況について、Article 19等の国際的NGOや国連に発信し続けてくださっています。
国連「表現の自由」特別報告者のディビッド・ケイ氏が4月12日~19日に日本を公式訪問し、日本の表現の自由に関して、国内NGOや日本政府からヒアリングを行う予定なのですが、それにあわせ、日本に戻っていらっしゃいました。
写真 秘密保全法に反対する愛知の会4周年総会 藤田早苗 特別報告をされる藤田早苗さん

メインの記念講演は、森 英樹さん(名古屋大学名誉教授 憲法学)に、「憲法から考える『安全』と『安心』」と題してお話しいただきました。
森先生が編者になって、2009年に『現代憲法における安全 比較憲法学的研究をふまえて』(日本評論社)が出版されたのですが(錚々たるメンバーが執筆していて、全860ページにも及ぶ大著です)、今回はその内容をぎゅっと圧縮したような、非常にアカデミックな講演でした。
「安全」「安心」とひとくくりにされがち(あえてされている?)で、「安全」「安心」のためならとラフな議論がされ、市民もそれで納得しがちだが、Safety(権利としての「安全」)と Security(将来の不安に対する統治システムとしての「安心」)とは違うこと、さまざまな問題について「Safetyの問題か?」「Securityの問題か?」を検討し、その区別に従って、〝個人の自由〟や〝基本的人権〟に対する制限の限界付けを検討しなければならないこと、が理解できました。
森先生の最新著書、『大事なことは憲法が教えてくれる 日本国憲法の底力』(新日本出版)は全200ページほどで読みやすく、それでいて憲法に関するさまざまな身近な疑問に答えてくれていて、お勧めです。
写真 秘密保全法に反対する愛知の会4周年総会 森英樹 記念講演をされる森 英樹さん

なお、総会では、引き続き、「秘密保全法に反対する愛知の会」の共同代表に中谷雄二 弁護士と本 秀紀 名古屋大学大学院教授が、事務局長に濵嶌が選任されました。
この1年も、秘密法制を含む戦争法制に反対する運動に取り組んでいきます。(浜島将周)

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