緑オリーブ法律事務所ブログ

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昨年10月に各個人への通知が開始されたマイナンバー制度が、本年1月から運用開始となりました。
後記のような多くの根本的問題をはらんだままで、しかも未だ十分に周知されているとはいえない状況でのスタートです。このため、懸念されていたとおり(愛知県弁護士会『マイナンバー法の施行延期を求める会長声明』2015.9.11.)、市民の間でさまざまな混乱や過剰反応を引き起こしているようです。

そのマイナンバー制度の問題点は、以下のとおりです。(マイナンバー違憲訴訟提訴(当ブログ『マイナンバー違憲訴訟を提訴しました』2016.3.28.参照)の際の記者会見資料からの抜粋)

Ⅰ マイナンバー制度の特徴
① 付番…全国民と外国人住民に原則生涯不変のマイナンバー(重複しない12桁の個人識別番号)。
悉皆性(全員に付番)
唯一無二性(一人一番号で重複がなく、再使用もされない)
② 共通番号制度…ひとまず税、社会保障、防災の三分野で、官民で、共通の番号として利用。
視認性(「民-民-官」で使用するための見える番号)
③ データマッチング…マイナンバー付き個人情報を名寄せ・突合(データマッチング)するシステム(情報提供ネットワークシステム)を構築。
④ 「マイナンバーカード」(マイナンバーが券面に記載されたICカード)と「マイナポータル」(ワンストップサービスの窓口となるインターネットポータルサイト)をつくり、それらも含めたマイナンバー制度の利活用を国家戦略として強力に推進。

Ⅱ マイナンバー制度の特徴から発生するプライバシー権等への危険性
① a.漏洩、b.データマッチング、c.成りすまし等の危険性。
② 国(行政)による個人情報の一元化による〝監視国家〟化の危険性。
それによる萎縮効果の発生の危険性~民主主義社会の前提を掘り崩すもの。
③ 例えば性同一性障害者について、雇用主等に対して戸籍上の性の開示を強制することとなり、人格権を侵害。
これらは、憲法13条で保障されたプライバシー権・自己情報コントロール権を侵害するのみならず、人格的自律権をも侵害する。

マイナンバー違憲訴訟へのご支援を、よろしくお願いいたします。(浜島将周)

 

<追伸>
4月5日の愛知県弁護士会マイナンバーホットラインは、午前10時から午後3時まで、電話がひっきりなしで、計77件のご相談がありました。

勤めている会社に番号を教えるのに不安がある、利用している証券会社などから問合せが来たが番号を伝えないといけないのか、といった番号提供に関するご相談が最多でした。
また、マイナンバーカードを作るのは義務か/作った方がいいか、マイナンバーカードの申請をしたのにいまだ送られてこない(この発行の遅れはシステム機構の不具合によるもののようです(東京新聞Web・3月20日))といったマイナンバーカードに関するご相談も目立ちました。

おそらくもっと多くのご相談があるのだろうと思います。
夏頃にまた、同様のホットラインを開催できたらと考えています。

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