緑オリーブ法律事務所ブログ

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以前のブログ記事(2016.7.18.「『破産』と『免責』」)でご説明したとおり、破産手続が開始された時点で債務者が負っていた債務(借金)について、法律上の支払義務を免除するかどうかを決める手続を、「免責手続」といいます。
免責手続で、裁判所が免責許可決定を出すと、債務(借金)の支払義務が免除されることになります。

しかし、一定の事情がある債務者については、不誠実であって債務(借金)の支払義務を免除させることは適切でない、とされ、免責が認められないことがあります。
この免責が認められないことがある一定の事情=「免責不許可事由」については、破産法252条1項に「裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。」として、11項目が挙げられています。




① 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
→(ごく大雑把にいうと) わざと財産を隠したり、壊したり、他人にただで上げてしまったりなどしたこと。

② 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
→ あえてヤミ金等から高利で借り入れて債務(借金)を負ったり、クレジットカードで購入した商品を低額で売ってお金に換えたりなどしたこと。

③ 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
→ 特定の債権者についてだけあえて、その特定の債権者に対する債務(借金)に担保を設定したり、返済したり(非義務的偏頗弁済)したこと。
以前のブログ記事(2016.6.18.「○○だけには返済したい…」)で取り上げた、「親友からの借金だけ返してしまう」とか「息子が連帯保証人になっている金融業者にだけ返済しておく」とかは、この偏頗弁済にあたります。

④ 浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
→ 収入に見合わないブランド品の購入等の浪費、パチンコや競馬等の賭博・ギャンブルなどして、著しく財産を減らしたり、過大な債務(借金)を負ったりしたこと。投機的な株取引や先物取引などもこれにあたります。

⑤ 破産手続開始の申立てがあった日の1年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。
→ 破産手続開始の申立てがあった日の1年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、すでに債務(借金)で首が回らない状態であることを分かっていながら、そのような事実がないと嘘をつくなどして金銭を借り入れたり、クレジットカードで物品購入をしたりなどしたこと。

⑥ 業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。
→ 日々の出納帳、決算書、確定申告書等の業務や財産の状況に関する帳簿、書類等を隠したり、でっち上げたり、書き換えたりしたこと。

⑦ 虚偽の債権者名簿(第248条第5項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第1項第6号において同じ。)を提出したこと。
→ 一部の債権者だけ除外するなど、虚偽の債権者名簿、債権者一覧表を裁判所に提出したこと。

⑧ 破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
→ 破産手続中に裁判所が行う破産審尋等の調査において、説明を拒んだり、虚偽の説明をしたりしたこと。

⑨ 不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。
→ 脅迫、暴行、詐欺等の手段によって、破産管財人等の職務を妨害したこと。

⑩ 次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から7年以内に免責許可の申立てがあったこと。
イ 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日
ロ 民事再生法(平成11年法律第225号)第239条第1項に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日
ハ 民事再生法第235条第1項(同法第244条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日
→ 以前に自己破産の免責許可決定を受けたことがあるなどした場合に、その前回の免責許可決定確定の日などから、今回の免責許可申立ての日までが、7年未満であること。

⑪ 第40条第1項第1号、第41条又は第250条第2項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。
→ 債権者集会等で破産に関して必要な説明をしなかったこと、裁判所に財産に関する書類等を提出しなかったこと、裁判所または破産管財人の調査に協力しなかったこと。




私の経験上、債務整理のご相談者・ご依頼者で一番問題になるのは、④の浪費、ギャンブルです。
②の換金行為や③の偏頗弁済をしたことがある、という方もときどきいらっしゃいます。

では、これらの事情が少しでもあったら、免責許可決定が出ないのかというと、そんなことはありません。

破産法252条2項では、「前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。」とされています。
つまり、その行為の悪質さの程度や、債務(借金)を負った理由、現在の生活や収入の状況等のさまざまな事情も考えた上で、裁判官が総合的に考慮して、債務者の立ち直りのために、免責を認める場合もあるのです。これを「裁量免責」といいます。
実際には、債務者に反省文を書かせる、裁判官が個別に面接してお灸を据える、破産管財人を選任して破産者が真面目に節約生活が送れるかしばらく観察させる、などして債務者の反省を促し、様子を見て、最終的には免責を認める場合がほとんどです。

「免責不許可事由にあたるかも…」と心当たりがあって、「破産できないかも…」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
当事務所は、借金・債務整理のご相談は、初回無料としています。まずはお気軽にご相談ください。(浜島将周)

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