緑オリーブ法律事務所ブログ

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「破産」と「免責」
2016-07-18 · by blogid · in 借金・債務整理,
以前のブログ記事(2016.6.18.「○○だけには返済したい…」)で書ききれなかった、破産免責についてのお話です。

一般に「破産」というと、借金がチャラになる=債務者の債務が法律的に消滅する、ことだと思われるでしょうか。私もそのイメージで、「破産」という言葉を、普段の法律相談では使うこともあります。
しかし、厳密には、「破産」手続は、債務者の債務を法律的に消滅させる、という制度ではありません。

破産手続とは、自分の財産や収入だけでは債務(借金)全額の返済ができなくなった場合に、裁判所に選任された破産管財人と呼ばれる弁護士が、債務者の財産を他人に売るなどして金銭に換えた上で、その金銭を債権者全員に債権額に従って公平に配当し、清算する手続をいいます。【管財型の破産手続】

ただ、債務者の財産が少なすぎて、債務者の財産を金銭に換えても、破産管財人の報酬分すら出てこないと予想される場合には、裁判所は、破産手続を開始するという決定をすると同時に(破産管財人を選任せずに)、その手続を終わらせる決定をします。【同時廃止型の破産手続】
(一般的な自己破産の手続としては、むしろこの同時廃止事件となる場合の方が多いです。)

したがって、破産手続が終了しただけでは、債務者には、清算後に残った債務(借金)を返済する義務は残ったままです。

債務者の債務を法律的に消滅させる、というのは、その次の段階の手続で、債務(借金)の支払義務を免除する決定を裁判所からもらう必要があります。これを「免責」手続といいます。

このように免責とは、債務(借金)についての法律上の支払義務を免れさせることによって、債務者の経済的な立ち直りを助ける制度です。

ただし、税金や罰金、養育費など、免責を受けても支払義務が免除されない債務もあります。
また、この免責が許可されない、つまり、債務(借金)の支払義務は残り続ける場合があります。この「免責不許可事由」については、またあらためてご説明します。(浜島将周)

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