緑オリーブ法律事務所ブログ

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今年10月から,国民一人ひとり(未成年者も含む)にマイナンバーが付けられる制度が始まります。

制度開始にあたって,10月から「通知カード」が住民票上の住所に,「世帯単位」で送付されてきます。たとえば,住民票で同じ世帯になっている親子の「通知カード」が,人数分,一つの封筒で郵送されてくるわけです。

しかし,DV,ストーカー,児童虐待の被害者等の方は,加害者に現在の住所を知られないために,やむをえず住民票を動かさないで,転居している場合があります。

マイナンバーは,今後,法改正により,利用範囲が広がり,預金口座や,医療機関の情報も関連づけられてしまうおそれがあり,加害者等に被害者等のマイナンバーが知られた場合,秘匿している情報が漏れてしまう危険性があります。

そこで,被害者等の方が,ご自分で,ご自分や一緒に避難しているお子さんの「通知カード」を受け取るためには,住民票のおいてある市区町村に,居所情報(実際に住んでいる場所)を登録したうえで,その居所に送付してもらうという方法があります(住民票がある役所へ持参又は郵送。9月25日必着)。

名古屋市の広報

http://www.city.nagoya.jp/shiminkeizai/page/0000072938.html

総務省の広報

http://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/08.html

とはいえ,市区町村に登録した居所情報や提出した証明書類が,なんらかのミスで行政機関やカード送付事務等の受託業者から漏洩するリスクがあり,また,加害者に対して絶対に開示されないという保証もありません。

名古屋市の場合は,住所地区長がDV等被害者など特に居所情報の保護を厳密に行うべきと判断する場合は,当該者の「通知カード」を住民票のおいてある区役所の窓口で,本人確認の上、受け取ることができる,と聞いています。

被害者等の方にとっては,いろいろと心配になるところですので,詳しいことや申請書の書き方,添付書類については,市区町村のマイナンバー担当部署又はこれらの被害者等の保護を担当する部署へお問い合わせ下さい。

 

さらに,10月5日以降,ご本人が希望すれば住民票発行の際にマイナンバーを記載できるそうです(横浜市HP参照)。

http://www.city.yokohama.lg.jp/shimin/madoguchi/koseki/tuuchi.html

そうすると,加害者等が,住民票上,同一世帯となっている被害者等やお子さんのマイナンバーが記載された写しを請求した場合,その写しを取得することによって,被害者等のマイナンバーが知られてしまうおそれがあります。

これを防止するには,役所としては,住民票を異動させた上で,いわゆる支援措置(住民票や戸籍の附票について)をかけるよう指導しているようですが,支援措置にも要件がありますし,また,支援措置をかけたとしても,自治体によって運用に差がありますので,絶対に開示・取得されない保証もありません。被害者等の方にとっては本当に悩ましいところです。

ご心配な方は,この点もあわせて担当部署へおたずね頂いた方がよいかと思います。

(橫地明美)

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