緑オリーブ法律事務所ブログ

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昨年の参議院通常選挙に関する一人一票実現訴訟(いわゆる一票の格差訴訟)について、11月26日、最高裁の判決がありました。 報道各社も大きく取り上げてくださいました。(朝日新聞WEB版・11月27日NHK・11月27日など) 残念ながら、明確な違憲判断は下されませんでした。 しかし、最高裁は判決文の中で、国会に対し、「4増4減」などという小手先の是正でなく、「より適切な民意の反映が可能になるよう、…都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形であらためるなどの具体的な改正案の検討と集約が着実に進められ、できるだけ速やかに、現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法措置によって…不平等状態が解消される必要がある」と言及しました。 参院選に関して、2010年の通常選挙に引き続き、2回連続の「違憲状態」判断です。 今回の判決で特筆すべきは、2つの反対意見です。 鬼丸かおる裁判官は、「憲法はできる限り1対1に近い平等を保障している」とした上で、「選挙制度の見直しを求めた平成21年最高裁判決からの約3年9か月間で、投票価値の平等を基本とする公職選挙法改正の実現は可能であったというほかない」として、違憲である(ただし、本件選挙を無効とすることなく、違法と宣言するにとどめる)と判断しました。 山本庸幸裁判官は、「投票価値の平等は、他に優先する唯一かつ絶対的な基準として真っ先に守られるべきものであり、これが実現されて初めて代表民主制が国民全体から等しく支持される正統なものとなる」、「どの選挙区においても投票の価値を比較すれば1.0となるのを原則とすべきである」として、違憲であって選挙は無効であると判断しました。 最高裁の中で、一人一票の実現を明確に求める裁判官が複数いらっしゃることは心強い限りです。 国会には、最高裁のメッセージを重く受け止め、速やかに一人一票を実現していただきたいと思います。   さて、あと2週間ほどで、衆議院総選挙になりました。 衆院選についても、2009年の総選挙、2012年の総選挙と2回連続で「違憲状態」判断が示されています。 にもかかわらず、「0増5減」という小手先の是正だけで、不平等状態はほとんど解消されていません。 今度の衆院選についても、一人一票実現のために全国で一斉提訴する予定です。(浜島将周)

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