緑オリーブ法律事務所ブログ

緑オリーブ法律事務所ブログ

先日、体罰で教師が処分を受けたという新聞記事を見ました。
そこで、一度体罰について説明をしたいと思います。

学校教育法11条で、体罰は絶対的に禁止されています

学校教育法11条 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。

よく、「教育目的」「愛の鞭」「やる気を出させるため」に体罰を加えたという言い訳がなされることがありますが、「しつけのため」の身体的虐待が認められないのと同様、どのような目的でも体罰は禁止されています
教育基本法1条は、教育の目的が「人格の完成」にあることを明記しています。体罰は、生徒の人格を否定し、その人権を侵害する行為であり、人格を否定しては、教育の目的である人格形成が達成されないことは明らかです。すわなち、体罰は教育の自己否定でもあるのです。

 

では、体罰とは具体的にどのようなものでしょうか。「殴る」「蹴る」等の直接的な暴力だけが「体罰」なのでしょうか。

法務庁法務調査意見長官の昭和23年8月2日付「児童懲戒権の限界について」と題する調査2発第18号回答では、
・「体罰」とは、懲戒の内容が身体的性質のものである場合を意味する
・身体に対する侵害を内容とすることはいうまもでもない
・被罰者に肉体的苦痛を与えるような懲戒もまたこれに該当する
として、直立や正座等、特定の姿勢を長時間保つようなことも体罰にあたると例示しています。
生徒に対する直接の暴力だけではなく、肉体的苦痛を生ずる行為を口頭で強いれば、「体罰」になるということです。
他には、トイレに行かせなかったり、給食時間が過ぎても無理矢理食べるようにさせる行為は、体罰にあたる場合が多いでしょう。
このような行為は、私が小学生だった頃にはまだ存在していたような記憶がありますが、昭和23年に既に国は否定していたことになります。
ただし、体罰か否かは機械的に判断できるものではなく、当該児童の年齢・健康・場所的および時間的環境等、種々の条件を考え合わせて肉体的苦痛の有無を判断しないとならないともされています。(間宮静香)

  • <
  • 1
  • >