緑オリーブ法律事務所ブログ

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兵庫県議の号泣記者会見によって、「政務活動費」が注目を浴びています。オンブズマン活動をしている弁護士として、少しだけ書いておきます。

政務活動費は、少し前まで政務調査費と呼ばれていました。

政務調査費は、地方議会や地方議員の活動の重要性から、地方議員に対し、給与とは別に、議員の「調査」「研究」のためだけに支給される補助金で、平成13年頃から、全国の自治体で導入が進みました。
そういう名目のお金(もちろん税金)なので、議員の調査・研究のために使われるべきものなのですが、導入当初は、(議員の良識に期待してだろうと思いますが)使途について領収証の添付を不要としていた自治体も多かったため、第2の給与化し、文字どおり好き勝手に使われることが多々ありました。
各地のオンブズマンの追及によって、領収証の添付を必要とするなど適正化が進みましたが、それでも、その領収証を精査すると、「書籍代」=資料代?と思いきや当時の流行恋愛小説だったり、毎日数百キロ走れるくらいのガソリン代が使われていたり、単なる事務所家賃だったりと、不適正な使われ方が続きました。

その後もオンブズマンの追及は続き、その結果、昨年、政務調査費が政務活動費に変わりました。
「調査」でなく「活動」ですから、使途を広げる=今までブラックやグレーだったものをホワイトにするという、市民感覚からすればどうかと思う対応です。
もっとも、使途が広がったからといって、給与になったわけではありません。あくまで政務活動に必要な範囲でしか使えません。その範囲は各自治体の条例で定められ、各議会でガイドラインが設けられています(例えば愛知県議会の場合はこちら)。

今回の兵庫県議の場合、ひとりの議員の活動としてありえないような移動(電車代の支出)があったり、手紙の発信(切手代の支出)があったりしたようですし、それについての領収証もなく、説明もできない(しない)というのですから、正しく政務活動費として使われたのではないと推測されて仕方ないでしょう。
早晩、地元のオンブズマンが住民監査請求という手続で、不正に支出された政務活動費を県に返還させるよう求めることになると思います。
また、これを機に、全国の地方議員のみなさんには、あらためて自身の政務活動費の支出の仕方を点検していただきたいと思います。(浜島将周)

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