緑オリーブ法律事務所ブログ

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短期消滅時効の改正が検討されているとの報道がありました(読売新聞2014年6月23日)。

市民間の生活関係を規律する法律である民法は、明治29年に制定されたとても古い法律で、現在、その大改正が検討されています。(この大改正をすべて取り上げるときりがないくらいの抜本改正です。)
そのごく一部として、消滅時効制度の改正も検討されています。

消滅時効制度とは、一定期間の経過により権利が消滅する制度をいいます。
現在の民法における債権の消滅時効期間は原則10年となっています(民法167条1項)。例えば、AさんがBさんに100万円のお金を貸していて、返済期限を過ぎている場合、Aさんが10年間、返還請求権を行使しないと、Aさんの貸金債権が消滅する、つまり、AさんはBさんに100万円を返せと言えなくるのです。
逃げ得を許すのか!と言われそうですが、「永続した事実状態の尊重」「権利の上に眠る者は保護せず」「証拠の散逸」といった理由から、諸外国でも採用されている制度です。

さて、この債権の消滅時効の期間には、さまざまな例外が規定されています。
そのひとつが短期消滅時効で、10年よりも短い期間で消滅します。例えば、飲食代等は1年(民法174条)、授業料等は2年(民法173条)、診察費等は3年(民法170条)で消滅します。「飲み屋のツケは1年でなくなる」というのは正しいわけです。(ちなみに、弁護士の報酬も2年で消滅します(民法172条)。)

今回の改正案は、業種ごとに期間が異なるのは分かりづらいなどの批判に応え、1~3年で定めている区分を撤廃し、5年で統一しようというもののようです。

なお、民法大改正について検討している法制審議会の民法(債権関係)部会は、短期消滅時効そのものを廃止するとともに、一般の消滅時効期間も改正することを提案しています。ですから、今回の改正案のとおりに区分の撤廃がされても、またすぐ改正されるかもしれません。

いずれにせよ、現時点ではまだ、短期消滅時効は改正されていません。
短期消滅時効にかかってしまう権利の行使は、早急に行うべきです。(浜島将周)

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