緑オリーブ法律事務所ブログ

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政府が、6月11日に労働時間法制の見直しに関する関係閣僚会議を開き、労働時間に関係なく成果に応じて賃金を支払う新制度の導入する、適用対象者は「職務が明確で高い能力を有し、少なくとも年収1000万円以上の労働者」とする、と決めたと報道されました。
労働界からどれだけ批判を浴びようとも、政府・経済界はやっぱりホワイトカラー・エグゼンプションを導入したいようです。

職務が明確だとか、高い能力を有するとかいった抽象的な基準では適用範囲が拡大解釈され、年収1000万円以上というのもそのうち引き下げられて、「限定」がなくなっていくであろうことは、例えばこれまでの派遣労働法制のなし崩し的規制撤廃を見ても明らかです。

労働者に過酷な長時間労働を求め、そのくせ残業代は支払わず、それに対する苦情も受け付けないというような〝ブラック企業〟が社会問題化し、労働者を守るための労働基準法などの労働法制を軽視する風潮が蔓延しつつある中で、このような制度を導入すれば、労働者はますます苦しい立場に追いやられてしまいます。〝過労死〟が今以上に発生することになりかねません。
今すべきは、労働者個人も企業も「健全な」成長をするように、企業に労働法制をしっかり守らせるとともに、むしろ労働者保護のための法改正をすることでしょう。

濵嶌も所属する日本労働弁護団が『政府の新しい労働時間制度」に反対する声明』を発表しました。ご一読ください。(浜島将周)

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