緑オリーブ法律事務所ブログ

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2014年5月11日の中日新聞で、「全国の警察でストーカー事案を担当する警察官の8割超が、被害の相談者に「被害届の提出」や「シェルターへの避難」などの対策を勧めたところ断られた経験が あることが11日、警察庁から慶応大に出向中の四方光教授(法政策学)らが実施した抽出調査で分かった。相談者の多くが理由に「加害者の逆上の恐れ」を挙げ、支援をためらう現状が浮き彫りになった。」との記事がありました。
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014051101001474.html

警察に被害を訴えたことが加害者に分かってしまったり、被害者が避難して加害者との連絡が遮断されたりすると、加害者が感情を悪化させ、ストー カー行為がエスカレートしてかえって危険が高まるおそれがあるので、被害者が安心して「支援」を受けられないということだと思います。

小早川明子著『「ストーカー」は何を考えているか』(新潮新書)では、カウンセラーとしてストーカー問題に取り組み多くの加害者と向き合ってきた著者が、 女性ストーカーや高齢者のストーカーも相当数いるなど、公的な調査にあらわれない実態や、具体的アドバイスが紹介されています。加害者もその家族も、ストーカー行為をコントロールできずに悩んでいるケースもあるようです。

近年、悲惨な事件が多く発生し、警察の認識と対応も以前より進んでいる状況にはあると思いますが、より深刻な被害を受けるのをおそれて、当面の支援を受けることをためらう被害者の心理・行動や、ストーカー被害の実態をふまえて、より実効性ある対策を考えていかなければいけないと思います。

(橫地明美)

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