緑オリーブ法律事務所ブログ

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 成人となる年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法が、この4月1日に施行されました。明治以来140年以上続いた「大人=成人は20歳から」という〝常識〟が変わることになります。大きく報道されていますので、みなさんご存じでしょうから、極簡単にお知らせします。(朝日新聞DIGITAL・3月31日NHK・特設ページ等)
 なお、法務省の特設ページもご参照ください。→こちら


 成人となれば、18歳、19歳の若者であっても、親(保護者)の同意なく、クレジットカードをつくったりローンを組んだりといった契約を締結できるようになります。少子高齢化が進む中、若者が早くから経済活動に参加することで社会の活性化につなげたい、というのが、成人年齢引下げに期待される効果だといわれています。
 しかし、これは、18歳、19歳の若者が、例えば悪質な業者のターゲットになる可能性があることを意味します。これまで、親(保護者)の同意なく結んだ契約を後から取り消せる「未成年者取消権」の対象だったのに、今後は外れることになるからです。20歳を超えていても消費者被害に遭っている方がたくさんいるのに、成人年齢が引き下がるとなれば、被害の増加が懸念されます。
 消費者庁は、啓発に力を入れています(消費者庁・特設ページ)。金融庁は、全国の貸金業者から18歳、19歳への貸付状況の報告を受けるなど監視を強めています。若者を狙ったアダルトビデオへの出演強要問題について、啓発強化を柱とする政府の緊急対策も取りまとめられました。


 今回の成人年齢の引下げにより、公認会計士、司法書士、行政書士等の国家資格の取得可能年齢も引き下げられました。
 また、18歳、19歳でも裁判員に選ばれるようになりました。


 女性が結婚できる年齢は16歳から18歳に引き上げられて、これまでの男女差が解消され、男女ともに18歳から親の同意なく結婚できるようになりました。


 他方、酒、タバコあるいは競輪、競馬といった公営ギャンブルについては、健康や依存症への影響を考慮して、20歳以上が維持されました。

 改正少年法は適用年齢を20歳未満に維持し、捜査機関が全事件を家裁送致し、家庭環境等の非行の背景を調査する仕組みや、少年院送致、保護観察といった選択肢も残しました。しかし、家裁から検察官に原則として送致(逆送)し、大人と同様の手続きをする対象事件が拡大され、また、正式に起訴されれば実名報道が可能になりました(実際、今月8日には、放火殺人事件で、19歳の「特定少年」の実名報道がされました。)。


 若年層に対する消費者教育、法教育を含め、実効性ある施策を進めていくことが求められます。(浜島将周)

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